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2010年11月 9日 (火)

近所の本屋のはなし

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近所に、自宅と店舗がつながっている個人商店というのでしょうか?
本と文房具を扱っているお店があります。

いつ行っても、お客は私一人で店に入るか入らないかで、
店の奥から店主のおじいさんが店に出てきます。

店主は、寒くなるとらくだ色のVネックセーターを着てスラックスをはいています。
店の中は、音楽やラジオなどの音が無く、店主と二人っきりになり、気まずくなっていつも私が一人で何か店主に話しかけます。

その店では、娘の文房具を買いますが「プリキュアのノートはないか」と店主に話しかけると、店主はちゃんと店の棚からプリキュアのノートを出してきてくれます。しかし、すでにテレビ放送が終了してしまったバージョンのプリキュアだったりします。

まあそれはよくあることです。

私が普段足を運んでいる店舗では、そういった商品はセールになっていたりしますが、
そのお店では、セールというものはありません。
むしろ値引き価格で売られていることもありません。

それは何年前の商品ですか?とわかってしまうほどの日に焼けた冊子であっても、値引きされることはありません。

しかし、わたしはその店で、それがわかっていても、買い物をするのです。
わたしは、自分がある意味、損をしているという感覚を、知っています。

そういえば、わたしが子どもの頃こんなことがありました。

わたしの実家は田舎だったためか、大型店舗やチェーン店がなかったこともあり、個人商店が元気でした。10年ほどすると、その個人商店は、大型店舗やチェーン店に押されてしまい、細々と商売するようになりました。

ある時、家の近くに、2階建てでレンタルビデオショップやCDも買える、大型の本屋ができました。
そこには、最新の本や、いつも綺麗な本がたくさんあり、割引や、ポイントシステムがあったので、町中の人はそこに行って、本を買うようになりました。

私は子どもの頃、本を買ってもらおうと、その新しい本屋におじいちゃんを連れて行きました。
が、おじいちゃんは、私が欲しい本を見るだけで、買ってくれませんでした。
子どもの頃の私は、本を買ってくれなかったことに腹を立て、
しばらくおじいちゃんと喧嘩して口を聞かなくなりました。

数日後、おじいちゃんがラッピングしたプレゼントを私に渡してくれます。
けんかしていて、きまずかったのか、わたしの学習机にそれを置いて部屋を出て行きましたが、開けてみると、それは先日、新しい本屋でねだった本でした。

しかし、その本は、本の上の方が日に焼けていて、
新品だけれど、状態がいいとはいえないものでした。

子どもの頃の私はめざとかったのでしょうか。そのラッピングを見てこれは、うちの近所にある誰も人が行かなくなってしまった本屋のものだとわかりました。

わたしはすぐに、おじいちゃんに
「どうしてあのときあの本屋で買ってくれなかったの!あそこで買ったらきれいだったのに!」
と、怒りました。

でも、おじいちゃんは、なにも言いませんでした。

 
そんな子どもだったのにわたしにどんな変化があったのでしょう。
近所の文房具屋を出てから、ふと、そんなことを思ったのでした。


※最近気になった本 Amazon.co.jp: 昔日の客: 関口 良雄: 本
2010年10月に、夏葉社から、32年ぶりに復刊されたこの本が読みたいと思いました。
もちろんと言ってもなんですが、私の近所の本屋さんでは売られていません。その本屋さんでは婦人雑誌は買っても、わたしがAmazonでこの本を買うからでしょうね。娘の文房具はとても充実しています。もしかすると、次行ったときは新しいプリキュアのノートも売られているかもしれません。プリキュアが新しくなる前に、また行かなくちゃ。

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